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高橋克彦著「風の陣」を読みながら次の読書を決めていた。その続編ともいうべき著作「火怨」である。サブタイトルにもあるように蝦夷の英雄アテルイの物語である。
2年前にNHKBS歴史館「不屈の英雄アテルイ」を観た。放映中のNHKのBS時代劇「火怨・北の英雄 アテルイ伝」の解説版といった観のある番組だった。初めてアテルイ(阿弖流為)という人物を知った。日本史で教えられた平安朝の英雄・坂上田村麻呂の敵役こそがアテルイだった。それだけに朝廷と蝦夷との闘いを蝦夷の側に立って構成されたドキュメンタリーを興味深く観た。
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BS時代劇「火怨・北の英雄 アテルイ伝」の原作であるこの作品「火怨」は、前作の「風の陣」を凌ぐ出来栄えである。幾分冗漫な感のある「風の陣」に比べ「火怨」は、朝廷軍と蝦夷とのスピード感のある攻防を中心に多彩で魅力的な登場人物を配して描かれる。
上巻では5万を超える未曽有の大軍を派遣した朝廷軍をアテルイ率いる蝦夷軍が撃破するところで終わっている。歴史小説であるだけに最終的には蝦夷の敗北で終わるという結末を読者は知っている。それを成し遂げた英雄・坂上田村麻呂は上巻では登場しない。読者は本格的な攻防への期待と切なさを抱きながら下巻に向かうことになる。
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