一通の喪中挨拶状
2017-10-26


一通の喪中挨拶状が届いた。差出人は年賀状の宛先人ではない。同じ姓のご婦人の名前だった。「夫、○○が9月26日に永眠しました」とある。学生時代の友人M君のちょうど一カ月前の死を告げる挨拶状だった。
 大学卒業後に郷里の広島に戻ったM君とは以来一度も会うことはなかった。年賀状だけがお互いの消息を伝える仲だった。それでも青春真っ只中の学生生活で同じクラスの名簿の近い一時期を同じ下宿の隣り合わせの部屋で過ごした友だった。
 同年代や同年齢の知人たちの訃報連絡や喪中挨拶状を受け取る機会が多くなる年代を迎えた。そのつど共通の思い出や互いの絆を思い起こすことになるだろう。それは知人たちに私の思い出や絆を振り替えさせる時が忍び寄っていることを意味している。
 柔道部に所属し大柄でおおらかな性格のM君と四畳半一間の部屋でサントリーレッドを酌み交わしながら屈託のないひと時を過ごした思い出がよみがえった。
[交遊録]

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