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今月中旬に大型液晶テレビとＤＶＤレコーダーを購入した。その目的のひとつに20年近くまえにＮＨＫドラマとして放映された「清左衛門残日録」を観ることがあった。こよなく愛してやまない藤沢周平・時代小説の中でも最も好きな「三屋清左衛門残日録」が原作のドラマである。
　放映当時は４０代後半で多忙な現役生活を送っていた。原作もテレビドラマも眼中になかった。藤沢ワールドに嵌まり夢中で読みはじめたのは、リタイヤがカウントダウンを始めた６０代直前の頃からだったと思う。ちなみに手元に残された原作の文庫本の奥付は２００４年１月の第２９刷である。
　早速、ＮＨＫドラマのＤＶＤレンタルを求めてTSUTAYAに出かけた。１巻から７巻まであるようだが店に在庫はなく取り寄せが必要だという。そして今日、連絡を受けて４巻までのDVDを借り受け、第１巻をようやく視聴した。
　第１巻には第1話「昏ルルニ未だ遠シ」と 第2話「白い顔」が納められている。主人公の三屋清左衛門には仲代達矢が、親友の町奉行・佐伯熊太には財津一郎が、嫁の里江には南果歩が、小料理屋の女将・みさにはかたせ梨乃が配されている。原作のイメージを見事に具現化した布陣である。
　第１話は原作の「醜女」と「零落」をまとめた作品だった。二つの物語を織り交ぜてひとつのドラマに仕立てられているため多少筋立てに違和感があったのは止むをえまい。仲代達矢が用人という重職を隠居したばかりの初老の武家役を味わいのある演技で好演している。原作以上にウェイトの置かれている嫁・里江との掛け合いシーンで南果歩が温かみと知性を備えたキャラクターをごく自然に演じている。町奉行役の財津一郎もひょうきんさと貫録を備えた役回りを難なくこなしている。女将・みさ役のかたせ梨乃のしっとりした色っぽさが今後の展開に期待感を抱かせる。
　同時並行して原作を再読している。原作とドラマを同時に味わいながらの贅沢なひと時がしばらく続くことになりそうだ。